研究課題/領域番号 |
10470096
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
槙田 裕之 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30209407)
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研究分担者 |
大村 実 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50243936)
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30156674)
田中 昭代 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10136484)
井上 尚英 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00131904)
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キーワード | 外因性ホルモン様物質 / p,p'-DDE / トリブチルスズ(TBT) / 胎児期投与 / 複合影響 / アンドローゲン作用 / 抗アンドローゲン作用 / 哺乳動物 |
研究概要 |
本年度は、外因性ホルモン様化学物質と疑われているp,p'-DDEおよびトリブチルスズの乳仔期、胎仔期に対する影響およびそのメカニズムについて詳細な検討をした。12週齢のオス、メスのラットを交配し、受精を確認したのちに、妊娠メスラットを、コントロール群、p,p'-DDE(DDE)投与群、トリブチルスズ(TBT)投与群、DDEおよびTBT複合投与群の4群に分けた。コントロール群には通常飼料を、それ以外の群にはDDEおよびTBTのいずれかあるいは双方を混入した特殊飼料を、ダムラット(仔ラットを得るために交配したメスラット)のみに、妊娠2日目より授乳期が終了する(出産後21日目)まで自由摂取させた。自力で餌の摂取が可能となる離乳期以降、仔ラットは、すべての群で通常飼料により飼育され、その後の仔ラットの発育、成長、発達を48週にわたり経時的に剖検を含めて観察、検討した。胎児期からの投与では、TBTは、仔ラットの成長、発達を抑制する傾向を示した。この傾向は、これらの物質への曝露が中止された後も、ひきつづいてその影響が認められた。また、胸腺や前立腺などの臓器は、委縮傾向を示した。一方、DDEは仔ラットの成長や発育に対して、大きな影響を与えなかったが、同時投与によりTBTの成長や発育に対する抑制的影響を阻害し、通常の成長、発育過程に回復させた。。これらの結果から、TBTは哺乳類において内分泌撹乱作用を有すること、曝露される時期の相違により成長、発達への影響が異なること及びこのTBTの作用は、抗アンドローゲン作用を有するDDEの同時投与により阻害されることから、アンドローゲン受容体を介して発現されていると推定された。
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