研究課題/領域番号 |
10470103
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
嶋本 喬 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50143178)
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研究分担者 |
北村 明彦 大阪府立, 成人病センター*工部, 診療主任
谷川 武 筑波大学, 社会医学系, 講師 (80227214)
磯 博康 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (50223053)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 動脈硬化 / 危険因子 / 頚動脈エコー / 血漿フィブリノーゲン / 血小板凝集 / 接着分子 / 免疫能 / ホモシステイン |
研究概要 |
動脈硬化の新しい危険因子の検討を行なう目的で、頚部超音波断層装置による頚動脈硬化度の把握を、4地域の60-74歳の男女計1,648人に実施した。頚動脈の超音波断層の方法、読影の方法は米国のCardiovascular Health Studyの方法に基づいて行った。頚動脈体部もしくは球部・内頚動脈の最大IMT肥厚を指標として頚動脈硬化度を把握したが、その関連要因として抽出された従来からの動脈硬化の危険因子としては、年齢、高血圧、高コレステロール血症、低HDLコレステロール血症、糖尿病、喫煙であった。年齢と高血圧は総頚動脈、球部・内頚動脈のいずれの動脈硬化とも関連を認めた。高コレステロール血症、低HDLコレステロール血症は球部・内頚動脈ではなく総頚動脈の動脈硬化と関連した。循環器疾患の新しいリスクファクターとして注目されている血漿フィブリノーゲンの高値や血小板凝集能の増加が頚動脈硬化の初期の進展よりも血栓形成により強く関与する可能性が示された。また、免疫能に関しては、血中の白血球、単球数、メモリーT細胞と最大IMTとの間に関連が認められ、これらの免疫細胞が動脈硬化の進展に関与する病態過程に符合する成績が得られた。さらに近年、動脈硬化の初期において、マクロファージが血管内皮細胞に接着し、侵入する過程を促進する接着分子の一つであるEセレクチンの値が、総頚動脈の最大IMT高値群において、低値群に比べ高かった。血漿ホモシステイン値は正常血圧者において頚動脈硬化と関連を認めた。以上より、わが国の住民を対象とした疫学調査から、動脈硬化の要因として、従来の循環器疾患危険因子の他に、血中の単球数、メモリーT細胞数、接着分子、ホモシステインの高値が関与する可能性が示された。
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