研究分担者 |
下寺 信次 高知医科大学, 医学部, 助手 (20315005)
青木 省三 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80144749)
井上 新平 高知医科大学, 医学部, 教授 (20125826)
大津 忠弘 岡山大学, 医学部, 助手 (10325087)
津田 敏秀 岡山大学, 医学部, 講師 (20231433)
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研究概要 |
日本人の気分障害の患者の家族を対象として,カンバウェル家族面接(Camberwell Family Interview,CFI)を用いたEE(expressed emotion)評価の信頼性を評価し,そのEEの特徴を明らかにする目的で研究を行った.研究対象は27名の気分障害患者とその家族31名だった.家族とのCFI面接を行った.2名の評価者がそれぞれ独立にEE評価を行い,2者間の信頼性をスピアマン順位相関係数(Spearman's correlation coefficient by ranks),カッパ値(kappa value)などで評価した.その結果,気分障害におけるEE評価の評価者間信頼性を再検討する必要があること,気分障害患者家族の感情表出は分裂病患者家族と比較して抑制されたものであること,日本人の感情表現は欧米人よりも控えめであることが明らかとなった. また,気分障害と診断された32名の患者と36名のその主要な家族が研究対象として,9カ月間および2年間追跡するコホート研究を行った.その結果,批判3個以上あるいはE0I3点以上を高EE群,それ以外を低EEとしての9カ月再発リスクはそれぞれ83.3%(5/6),19.2%(5/26)であり,再発リスク比(95%信頼区間)は4.3(1.8-12.2)であった.この分け方での,妥当性の指標の値が最良であった.多重ロジスティック分析の結果でも,EEの影響は有意であった.また,2年間のコホート研究においても,同様の結果が得られた.したがって,日本においてもCFIによるEEは再発と関連していると結論できる.
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