研究課題/領域番号 |
10470119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石津 日出雄 岡山大学, 医学部, 助教授 (70033157)
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研究分担者 |
北尾 孝司 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (60218047)
山本 雄二 岡山大学, 医学部, 講師 (30136379)
宮石 智 岡山大学, 医学部, 助教授 (90239343)
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キーワード | トロポニンT / ミオシン軽鎖I / CPK-MMアイソフォーム / トロポニンI |
研究概要 |
本研究は、複数の筋蛋白について種々の部位の血液や筋肉などにおける含有量(活性)を測定し、その成績を様々な観点から詳細に分析して、種々の法医診断に役立てることを目指すものである。 本年度は、筋蛋白としてはトロポニンT、トロポニンI、ミオシン軽鎖I、CPK、CPK-アイソザイム、CPK-MMアイソフォームの6項目を中心に、試料としては剖検死体から部位別に彩取した血液やその他の体液を中心に検討を進めた。。尚、血液等体液以外の試料については、本年度は、屈筋及び伸筋、赤筋及び白筋を取り混ぜた全身約20ヶ所から骨格筋の収集を行い、現在約30の剖検例からこれらを採取し超低温に保存している。 死体血液に関して、上記各筋蛋白のうち前3項目については約260検体、後3項目を含めると約650検体を対象として、部位別にその濃度について検討したところ、一般的には、右心血より左心血、静脈血より動脈血、末梢血より心臓血で高い傾向があり、本研究が死後経過時間の推定や死後循環の実態解明につながることが示唆された。一方、溺死事例では左心血と右心血で各筋蛋白濃度が逆転する傾向があり、死因診断にも応用できる可能性が示された。また、若干数ながら、血液中の各筋蛋白濃度が採取部位の如何に拘わらず極端に高い事例があり、この意義付けについては今後の課題である。尿、脳脊髄液、硝子体液中の各筋蛋白濃度は一般に低く、事例による差は殆どみられなかった。しかし、硝子体液ではミオシン軽鎖Iの濃度が上昇している例があり、この意義付けについても今後検査例数を増やして検討する必要がある。脳脊髄液では、微量でも血液が混入するとその影響が極めて大きいことが判明し、試料採取は極めて慎重に行う必要があることや、CPK-MMの比率で混入程度を評価しうることが分かった。
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