研究概要 |
1. 虚血再灌流時、一酸化窒素(NO)によるProtein Kinase C(PKC)isoform活性化:ラット摘出灌流心にNO産生酵素阻害剤L-NAMEを虚血時または再灌流時に流し、PKC isoformの転移と左心室内圧を調べた。その結果、心筋の虚血再灌流時生成される一酸化窒素(NO)が直接PKC isoformを活性化転移し、再灌流による心筋収縮不全を抑制する、すなわち、NOは心筋に対して保護的に働くことが示された。 2. 虚血プレコンディショニング(Ischemic Predonditioning;IP)に関与するPKC isoform反復する狭心症(短時間虚血)により心筋梗塞(長時間虚血)に対する保護効果が生じることが臨床的・実験的に確かめられていて、PKCの関与が注目されている。ラット摘出灌流心に短時間虚血再灌流反復(IP)処置するとPKC-α,δ,εが膜分画に転移(活性化)するとともに、続く20分虚血後30分再灌流による収縮不全を改善する。このIP効果はPKC阻害剤でブロックされる。IP処理の条件を種々修飾し、PKC isoformの転移と収縮不全改善とを比較すると、IPの保護効果には、PKC-δまたはεのみで十分であることがわかった。 3. 虚血再灌流によるMAP kinase(MAPK)活性化とアポトーシス抑制:虚血時MAPKが細胞質から核に移行し、再灌流時活性化されてc-fos mRNAを誘導した。心筋由来培養細胞において、阻害剤とアンチセンス処理などを用いて、低酸素再酸素化により、PI3-kinase,PKC-ζ,MAPK活性化酵素(MEK),MAPKが次々に活性化されることによって、アポトーシスによる細胞死を抑制することが明らかになった。
|