研究概要 |
1.虚血心筋細胞内情報伝達系と細胞死、細胞障害に関する研究:ラット潅流心を用い、再潅流中に生成する一酸化窒素(NO)がProtein Kinase C(PKC)isoformを活性化し、収縮不全を軽減することを見出した。また狭心症発作後に心筋梗塞が起こりにくい現象のモデルであるIschemic Preconditioningに関与するPKC isoformを同定した。さらに、心筋由来培養細胞を用い、虚血再潅流によりPKC-ζ-PI3kinase-MAP kinase-c-fosのカスケードが活性化し、アポトーシスによる細胞死を抑制することを見出した。また、MAP kinase family酵素の新規の活性化機構の一端を解明した。 2.熱ショック蛋白(HSP)27、MKBP等のsmall HSPが心筋の虚血に伴い筋原繊維に移転すること、また出生直後一過性に増加することを見出した。HSPはプロテアソーム感受性の転写因子により誘導を受けること、既知の転写因子とは異なる転写因子により、発現が調節されることを見出した。 3.情動ストレスによる早期反応遺伝子・細胞内情報伝達系活性化:ラットの拘束ストレスモデルを用い、α,β-アドレナリン受容体を介するMAP kinase活性化と早期反応遺伝子誘導機構の一端を解明した。 4.ラットの冠動脈閉塞解放による心筋梗塞モデルにおいて、虚血がMAP kinaseを再潅流がJun kinaseを活性化し、アポトーシスがネクローシスと独立に起こることを示した。
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