研究概要 |
1.DHEA誘導体間の生理活性の比較 DHEAおよび類似構造を持つ他の内因性ステロイドであるDHEA-sulfate,epiandrosterone,pregnenolone,7αOH-DHEA,7βOH-DHEA,7keto-DHEAを用いて、ヒト肝癌細胞株HepG2の増殖への影響を検討した。MTT assayおよびBrdU assayにて、程度の差はあるがいずれのステロイドにも増殖抑制効果を認めた。 2.DHEAの作用機序の解明 従来の説であるglucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PD)経路の抑制、HMG-CoA reductase/MAP kinase経路の抑制のいずれがDHEAによる癌増殖抑制効果の主因であるかを明らかにするため、各種ステロイドの酵素活性への影響を検討した。その結果、G6PD活性の抑制もHMG-CoA reductase活性の抑制もMTT assayまたはBrdU assayの抑制とは相関がなかった。一方、MAP kinase活性の抑制とMTT assayおよびBrdU assayの抑制との間には有意な正の相関を認め、DHEA関連ステロイドはMAP kinaseまたはその上流分子の抑制により癌増殖抑制効果を発揮する可能性が示唆された。 3.血中DHEA誘導体定量方法の開発 内部標準物質としてDHEAに加え、7αOH-DHEA,7βOH-DHEA,7keto-DHEA重水素標識体を合成した。またシリカゲルカラムを用いた血清中DHEA誘導体の精製およびGC/SIMを用いた定量方法を完成させ、ヒト血清を用いて実際に定量を試みた。
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