研究概要 |
1)Dehydroepiandrosterone(DHEA)の癌増殖抑制機序を明らかにするため、DHEA、DHEA-sulfate、epiandrosterone、pregnenolone、7αOH-DHEA、7βOH-DHEAおよび7keto-DHEAの作用を比較検討した。その結果、これらDHEAの類似ステロイドも程度の差はあれ、癌細胞増殖抑制作用を持つことが明らかになった。その増殖抑制作用の強弱は、従来の説のようにglucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PD)活性阻害の強さとある程度関係していると思われたが、それのみでは説明できず、HMG-CoA reductaseからp21ras/GTP蛋白のイソプレニレーションを介してMAP-kinaseに至るシグナル伝達系の抑制も関係していると考えられた。このシグナル伝達系の阻害ポイントとしては、これまでHMG-CoA reductaseが考えられていたが、今回の我々の結果は、p21ras/GTP蛋白以降MAP-kinaseまでの経路に存在することを強く示唆するものであった。 2)GC/MSを用いて生体中DHEA誘導体の高感度分析を行う方法を開発するために、DHEA、7α-OH DHEA、7β-OH DHEA、7-keto DHEAの重水素標識体を合成した。そしてGC/MS分析における最適誘導体化方法、ガスクロマトグラフィーの昇温条件、最小検出感度などについて検討した。現段階ではMethoxime-DMIPS誘導体が最適と考えられ、最小検出感度はDHEA、7α-OH DHEA、7β-OH DHEAが1pg以下、7-keto DHEAが約20pgであった。また生体試料中Free,Ester,硫酸抱合型の分画方法、Esterおよび硫酸抱合の切断方法、ディスポーザブルカラムを用いた精製方法などについて文献的に検討し、予備実験を行った。
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