研究概要 |
1.日本人におけるビリルビンUDPグルクロン酸転移酵素遺伝子(UGT1A1)の多型、変異 健常日本人の白血球のUGT1A遺伝子検索を進めた。G71R変異のアレル頻度は13.8%、Y486D変異のアレル頻度は0%、プロモーター領域TATA boxへのTA挿入変異(TA7)のallele頻度は12.9%であった。欧米の報告ではコード領域の変異は健常者に全く存在せず、一方TA7変異はallele頻度16%と日本人よりもやや多い。 2.UGT1A1遺伝子変異と血清ビリルビン値との関係 健常人、Gilbert(G)症候群、II型Crigler-Najjar(CN)症候群の患者のUGT1A遺伝子変異と空腹時血清ビリルビン値とを検索し、両者の関係を更に検討した。健常者の変異(多型)の多くはheteroのプロモーター領域のTA7変異であり、一部heteroのG71Rの変異がみられた。G症候群患者の約90%にその他、コード領域の多種のhetero,homoの変異を認めた。新たにheteroのP364LとG71Rの合併したG症候群患者を発見して、検討中である。CN症候群では全例にコード領域のhomoの変異を認めた。 3.UGT1A1遺伝子変異と絶食高ビリルビン血症の関係 G症候群の診断に利用されている24時間低カロリー試験をUGT1A遺伝子を検索できた健常者、G症候群患者に行い、血清ビリルビン上昇と遺伝子変異の関係を検索した。遺伝子変異(+)の症例は、健常者でもG症候群患者でも血清ビリルビン上昇が0.6mg/dl以上となり、又変異と血清ビリルビン上昇との間に因果関係が認められた。
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