研究課題/領域番号 |
10470135
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70214286)
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研究分担者 |
望月 圭 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
平松 直樹 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
佐々木 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70235282)
大川 和良 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
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キーワード | 肝細胞癌 / C型肝炎 / TAP2 / インターフェロン / 樹状細胞 / B7-1 / 遺伝子診断 |
研究概要 |
抗原提示に重要な役割を担うTransporter associated with antigen processing2(TAP2)遺伝子の多型性が肝病変の発生・進展と関連するか否かをC型慢性肝炎患者において検討すると、TAP2^*0103を持つ患者はALT値が有意に低値で、肝病変の進展を抑える可能性があることがことが明らかとなった。C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療後の発癌に寄与する項目はIFN治療無効例、高年齢、男性で、IFN治療にてトランスアミナーゼの正常化が認められる再燃例では累積肝細胞癌併発率が著効例と同等で、無効例に比し有意に低率であることを明らかにしたが、IFN治療後の生存率も著効例、再燃例で、無効例、未治療例に比し有意に高率であることが判明した。以上より、C型慢性肝炎に対するIFN治療にてHCVの排除のみならず、一時的にでもトランスアミナーゼの正常化を来すことができれば、来るべき肝発癌を阻止するとともに生存率をも改善するという目標を達成しうると考えられた。 生体における最も強力な抗原提示細胞である樹状細胞機能は、C型慢性肝炎患者におけるallogenicな増殖刺激活性は低下していたが、抗原特異的CD4+細胞反応は保たれており、その機序としてCD86低発現、低サイトカイン産生による低増殖刺激が関与すると考えられ、樹状細胞機能を調節することによりHCV排除を促す新しい治療法を開発できる可能性が示唆された。また、再発肝癌に対しB7-1遺伝子導入とInterleukin-12の併用が免疫遺伝子治療として有用である可能性を明らかにした。
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