研究課題/領域番号 |
10470136
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
沖田 極 山口大学, 医学部, 教授 (70107738)
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研究分担者 |
増原 昌明 山口大学, 医学部, 助手 (80294627)
坂井田 功 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (80263763)
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キーワード | 肝細胞 / 癌細胞 / 前癌性病変 / シグナル伝達 / TGF-β |
研究概要 |
本年度は、活性化伊東細胞が産生し、線維化促進作用と細胞増殖抑制作用を有するTGF-β1と発癌過程で発生する前癌性病変との関連を中心に検討した。 (1)in vivo:ブタ血清をラットに週2回8週間投与すると、肝細胞壊死-再生を伴わず、伊東細胞を活性化させ肝線維化を作成できる。そこで、肝細胞壊死-再生-線維化(肝硬変)-肝癌(1年)の経過をとるコリン欠乏アミノ酸置換(CDAA)食を6週間投与し、ブタ血清非投与群と前癌性病変の出現について比較検討した。即ちブタ血清投与であらかじめ伊東細胞を活性化させ、肝内にTGF-β1を発現させてから前癌性病変を発生させその影響を検討した。 その結果、ブタ血清投与であらかじめ投与しその後CDAA食を投与したラットでは、CDAA食のみのラット肝にくらべ、有意に組織中のTGF-βは増加していたが、前癌性病変は増大し、PCNA陽性細胞も増加していた(細胞増殖能が亢進していた。)。すなわち、前癌性病変はすでにTGF-βの細胞増殖抑制効果から逸脱していることが判明した。 (2)in vitro:培養系においては、培養肝癌細胞に与える活性化伊東細胞の影響を検討した。すなわち、培養肝癌細胞と分離伊東細胞をco-cultureすることで肝癌細胞の増殖、形態などに変化を及ぼすかを検討したが、co-culture後24時間では肝癌細胞の増殖促進効果は認めなかった。
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