研究概要 |
1. 病理学的解析 肝硬変に伴う結節性病変のうち門脈血流を有する結節の病理学的所見についてはほとんどが再生結節,過形成結節であり一部(約20%)の症例において高分化型肝癌であることが判明した.またこのような門脈血流を有する結節の中には中分化型肝癌や低分化型肝癌のものは認めなかった. さらにCTAやUS anigoにて動脈優位の結節はそのほとんどが中分化型肝癌であり一部に高分化型肝癌が認められた.hypervascularで過形成結節と病理診断されたものは例外的な症例(アルコール性肝硬変に伴う過形成病変)のみであった. 2. 免疫組織染色 肝細胞癌において血管新生因子であるVEGFを染色したところ肝細胞癌では良好な染色性を認めた.今後,分化度の差による染色性ならびに結節内血流とVEGFの染色性などについて検討予定である. 3. 臨床的・画像的解析 カラードプラ法を用いることにより流入する定常性血流を証明し得た.これに対し,大型再生結節の特徴は結節内に動脈・門脈・肝静脈の3成分が観察されることであり,古典的肝細胞癌では流入する拍動成分と流出方向の定常波が描出されることである.このような所見を参考にすることによりある程度これらをカラードプラにて非侵襲的に鑑別し得ることが判明した.又,3次元画像にてこれらの血流が詳細に又,客観的に評価し得ることも示した.
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