ヒトでは、CCKは膵酵素分泌を促し、これはCCK-A受容体拮抗剤によって阻害される。にも関わらず、ヒト膵にはCC-A受容体遺伝子発現は殆ど見られない。膵外分泌調節における、CCKとCCK受容体の役割を検討し、ヒト膵外分泌調節機構を解析した。 ヒト膵切除をコラーゲン処理し、遊離膵腺房細胞を作製し、刺激に対する反応を調べた。結果は、10^<-12>-10^<-6>MCCK-8S刺激に対して、アミラーゼ分泌は全く起こらなかった。カルバコール、GRP刺激に対しては、用量依存製の分泌反応を示し、GRP受容体拮抗剤で阻害された。十二指腸切除標本において、1^<125>-CCK-8Sのオートラジオグラフィーを行ったところ、十二指腸には有意の結合がみられ、この結合はCCK-A受容体拮抗剤の投与で消失し、CCK-B受容体拮抗剤では影響を受けなかった。ヒト膵にはCCK-A受容体mRNAはNothern blotでは検出されなかったが、CCK-B受容体mRNAは検出された。CCK-A受容体N-端抗体による免疫組織染色では、ヒト胆嚢は染色されたが、膵は染色されなかった。以上の結果から、ヒト膵のCCK-A受容体は、機能面では、アミラーゼ分泌には関与していないと結論された。また、高濃度のCCK-8S投与によってもアミラーゼ分泌がおきないことから、ヒト膵に存在するCCK-B受容体も、アミラーゼ分泌には直接関与していない、と解釈された。CCK-A受容体欠損ラットでは、CCK-8S投与時に迷走神経胃枝の興奮はおこらなかった。(正常ラットでは興奮する)。CCK-B受容体遺伝子ノックアウトマウスでは、膵液分泌反応、胆汁分泌(胆嚢収縮)は、ホモ欠損、ヘテロ、正常群とのあいだに全く差がなく、膵臓重量、蛋白質含有量、組織像も各genotype間で差がみられなかった。CCK-A受容体ノックアウトマウスでは、膵液胆汁分泌はCCKによる刺激に全く反応しなかった。ラット膵臓の形成、成長には全く影響がなかった。CCK-A受容体遺伝子はは、離乳後増加するが、この増加は脱メチル化と相関した。
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