ヒト気道防御物質の局在と分泌機構の解明

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10470149
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 志村 早苗 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (20154312)
• 研究分担者: 山谷 睦雄 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60261640) ; 佐々木 司 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (10241598)
• キーワード: ヒト / 気管支腺 / 気道上皮細胞 / サーファクタントプロティンA / デフェンシン / ムチン / 遺伝子発現

研究概要

手術肺および死後4時間以内の剖検肺から得られた気道を用いて、気道上皮細胞および気管支腺(粘膜下腺細胞)を単離し、また各々の培養細胞を作製した。これらを用いて、次のような所見を得た。すなわち、1)Surfactant protein-A(SP-A)に対するモノクローナル抗体を用いての免疫組織的検索でSP-Aが気管支腺の漿液細胞に局在しており、気道上皮細胞にはみられなかった。さらに、気管支腺からのSP-Aの分泌をELISAにて確認した。SP-Aの遺伝子発現は気道上皮細胞にはみられず、気管支腺細胞にのみに認められた。さらに、対照の肺胞組織ではSP-A1とSP-A2の両者の遺伝子発現がみられたが、気管支腺細胞にはSP-A2のみの発現がみられた。気管支腺からのSP-Aは肺胞領域とは異なる機序で気道防御作用を示すことが考えられた。2)気道上皮細胞および気管支腺細胞にhumanβ-defensin 1(hBD-1)とhBD-2の遺伝子発現がみられたが、気管支腺が上皮に比べて5倍高い発現を示した。好中球エラスターゼおよびメサコリンにより気管支腺のhBD-2の遺伝子発現が増強したが、hBD-1の遺伝子発現は変化しなかった。すなわち、hBD-1はconstituetiveに、そしてhBD-2はinducibleに発現することが示された。3)気管支腺に於いてはムチン分泌と同じ刺激でSP-AおよびhBDの遺伝子発現の増強がみられたが、気道上皮ではこの傾向はみられなかった。

研究成果

• [文献書誌] 色川 俊也: "Cholinomimetic action of macrolide antibiotics on airway gland electrolyte secretion"American Journal of Physiology: Lung Cellular and Molecular Physiology. 276. L951-L957 (1999)
• [文献書誌] 玉田 勉: "A novel function of thyrotropin as a potentiator of electrolyte secretion from tradual gland"American Journal of Respiratory Cell and Melecular Biology. (in press). (2000)
• [文献書誌] 斉藤弘樹: "Gene expression and secretion of secretory lenkocyte protease inhibitor by submucosal gland"American Journal of Physiology: Lung Cellular and Moleculer Biology. (in press). (2000)
• [文献書誌] 笠森 寛: "Cyclic ADP-ribose, a novel Ca^<2+>-mobilizing second messenger, operates in airway gland acinar cells in vivo"Journal of Clinical Inrestigation. (in press). (2000)
• [文献書誌] 志村 早苗: "Signal transduction of mucous secretion by bronclial gland cells"Cellular Signalling. (in press). (2000)
• [文献書誌] 志村 早苗: "Goblet 細胞"呼吸. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] 志村 早苗: "Proceeding of Airway Secretion Research"Dunes Co. Press,Tokyo. 172 (1999)
• [文献書誌] 斉藤弘樹: "Proceeding of Airway Secretion Research"Dunes Co. Press,Tokyo. 印刷中 (2000)