研究概要 |
本研究は、気道防御機構に関与する蛋白分解酵素阻害物質に着目し、気道に重複し、共通する多重シスチンのS-S架橋構造を持つ2種の阻害物質secretor leukoprotase inhibitor(SLPI)とelafinの生理的意義が、redundancyの重複機構か、あるいは特異生理作用かを検討し、気道防御機構の一端解明を目的とする。 (1) SLPI遺伝子:染色体位置、遺伝子発現及びノックアウトマウス作製 a) マウスSLPI遺伝子の染色体位置と遺伝子発現 先にクローニングしたマウスSLIP cDNAを用い、その染色体遺伝子座を2Hと決定し、これがヒト20q12-13.2に相当することを同定した(Am J Respir Cell Mol Biol,19,875-80,1998)。一方、in situ hybridizationにより肺炎マウスで経時的に気道上皮細胞にSLPI発現増強を認め、肺胞腔内単核白血球にも強発現をみた。牌臓ではgeminal centerの細胞に発現をみた(Am J Respir Crit Care Med,159,suppl,1999)。 b) SLPItargeting vectorの構築 マウスSLPI遺伝子の上流3kbから下流5kbの制限酵素地図を基に、SLPI全エクソンを除きPGKNEO(positive select)及びDTA(negative select)を含むtargeting constructを完成した。尚、当初予定したCre-loxP構築は後に回し、先にconventinal knockoutを試みる。近日中にES細胞に導入予定である。 (2) マウスelafin cDNAクローニング マウス肺由来cDNA libraryを用い、ヒトとプタelafincDNAの高ホモロジー領域のdegenerative primerでnestedPCR等を繰り返したが、シグナルがなく、今後皮膚やkeratinocyte cDNA libraryよりマウスelafincDNAのクローニングを続行する。
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