研究概要 |
遺伝性神経変性疾患にはその遺伝子にCAGのリピートを含み、リピートの伸長を認める一群の疾患が存在することが近年認識されてきている。このような疾患をCAGリピート病と呼び、ハンチントン病、マシャドジヨゼフ病、DRPLA、球脊髄性筋萎縮症(ケネディ病)などが含まれる。ごく最近CAGリピート病の神経細胞の核に封入体が存在することが確認された。本研究ではこの核内封入体について以下の点を解明することを目的とし、以下の結果を得た。 1) 核内封入体にとむ分画を抗原としてモノクローン抗体を作成し、ポリグルタミンやユビキチン以外と反応するクローンについて抗原の同定を行うことを目的とする。現在核内封入体を作成するマウス及び細胞から封入体を単離し、モノクローン抗体を作成している。 2) ハンチントン病、DRPLA,MJD脳について疾患の特異的な遺伝子産物由来のペプチド断片の存在についてポリグルタミン抗体ないしその周辺のエピトープ抗体を用いて検討し、特異的断片が存在するのであればその精製を行い、どのようなプロセッシングが存在するのかを解明することを目的とする。解析の結果特異的な断片の存在は現段階では確認されていない。 3) 伸長したポリグルタミン鎖を大腸菌において作成し、これを線維形成させ、結合する蛋白を脳、ないし核蛋白から抽出する目的で検討を行っているが、精製が困難であるため、現在別の系で結合蛋白の同定をめざしている。 4) 核内封入体の形成には核移行に関与する因子の同定が重要であるが、この疾患とは別の系においてRNAが核移行に関与することがわかり、蛋白以外の因子の検討も重要と考えられた。
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