研究概要 |
1)細胞モデル系の確立と結合タンパクの同定 CAGリピート病において凝集体形成過程に関するモデル系としてマウスニューロブラストーマ細胞におけるハンチンチンエクソン1+GFP融合タンパクの誘導的発現系を確立した。この系では伸長したポリグルタミン鎖のタンパク発現依存性に細胞死を引き起こした。このことは蛋白発現が直接に細胞死に関連していることを示している。細胞死に平行して凝集体形成が認められ、不溶性の融合蛋白の増加が認められた。この系における細胞死はカスペースの活性化を伴い、カスペースインヒビターは部分的に細胞死抑制効果をもたらした。さらにこの系においてシャペロン系の変化を検討したところ可溶性のハンチンチンエクソン1タンパクを免疫沈降することによってHDJ-1,HDJ-2、HSP70、HSC70が結合していることが示された。他の因子の結合は検討中である。 さらにハンチンチンエクソン1のトランスジェニックマウスモデルを用いてその肝臓から核内封入体を精製することに成功し、これと結合する蛋白の解析を行い、上記のHSPが結合することがわかった。 2)大腸菌における異常蛋白発現モデル CAGリピート病において凝集体形成過程に関するモデル系として大腸菌におけるハンチンチンエキソン1の発現系を確立した。この系は大腸菌の細胞死を引き起こし、ゲリセロール、DMSOによって部分的に細胞死は軽減された。またハンチンチンエキソン1をGST融合蛋白として発現し、この相互結合反応について検討した。この融合蛋白は疾患領域を伸長をおこしたポリグルタミンに対する特異的抗体1C2との反応において正常リピート領域とも反応し、モデル系として不十分であることがわかった。 3)酵母における核移行に関与する因子の解析 またCAGリピート病において核内封入体が形成されろことが知られており、このため疾患遺伝子産物の核移行に関する研究が重要である。この点に関連して酵母においてある種の核移行にRNAが関与する現象があることを同定し、CGAリピート病において核移行に関与する因子としてRNAについても検討する必要があることを見いだした。
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