研究課題/領域番号 |
10470160
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小岩 喜郎 東北大学, 医学部, 助教授 (80091685)
|
研究分担者 |
池田 淳 東北大学, 医学部, 助手 (90211028)
斎藤 淑子 東北大学, 医学部, 助手 (70178515)
金井 浩 東北大学, 工学研究科, 助教授 (10185895)
|
キーワード | 動脈硬化 / 粥腫 / 超音波ドプラ / 局所血管病変 / 微少振動計測 / 集団検診 / 粥腫安定性 / 危険因子 |
研究概要 |
動脈硬化は30代以前から進行し、発病前の早期段階での無症候性動脈硬化の診断や、個々の経時的変化の計測が早期治療や循環器溪患の予防に不可欠になっている。しかしこれら血管の早期病変を外来レベルで非観血的に高精度に計測する方法は報告されていない。 本研究者らは新しい超音波ドプラ測定原理を構築し、動脈硬化および動脈粥状硬化の非観血的な数十μmレベルの高精度計測法を開発してきたが、本年度は 1) これを検診などでの大量データの処理時間を短縮するように発展せしめ、病変の物理的な特性(弾性的特性)がリアルタイムに計測しうる様にし得た。このことで日常臨床の評価が容易となり、患者各々に対する最適な治療法を、反復しての壁病変の評価から選択しうることとなった。 2) 東北電力社員の多数例を対象に、電力社員の検診データを参考にして、冠動脈病変と比較的相関の高いとされている頚動脈の局所壁硬化病変を高精度に計測し、動脈硬化危険因子との定量的関係を検討した。この総勢176名の検討からは、従来の定説では動脈壁の厚み増大が動脈硬化病変の最初の所見であるとされていたのに対し、それ以前に既に壁弾性が増大しており、それは高脂血症、高血圧、喫煙などの危険因子と相関して鋭敏に変動すること明らかにした。このことは集団検診などでの生活習慣是正の指導/教育に際しても有益であろう。 3) 多数の症例を持つ秋田県横手市平鹿総合病院との共同研究により、経食道ドプラによる冠動脈近位部におけるアテローム病変の内部組成を定期的に計測し、治療法と粥腫の退縮、安定化との関係に関する検討を行った。 これらによって本非観血的診断法が、平成10年度日本超音波医学会賞を受賞した様に、新しいミクロンレベルの診断法として確立されたといえよう。
|