研究課題/領域番号 |
10470163
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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研究分担者 |
佐久間 一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50178597)
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (70262912)
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キーワード | 多形性心室頻拍 / スパイラル型リエントリー / 膜電位感受性色素 / 活動電位光学計測 / 直流通電 |
研究概要 |
本研究の目的は多形性心室頻拍(PVT)の発生に重要な役割を果たすスパイラル型リエントリーの成立機転を明らかにするとともに、薬物による制御を検討することである。初年度は膜電位感受性色素で染色したウサギ灌流心の表面8点から活動電位の蛍光シグナルを同時に安定して記録できるシステムを開発し、直流通電によるスパイラル型リエントリー誘発実験を行った。 1. 計測システム 計測用プローブとしては各測定点ごとにファイバー束を介して、光シグナルを照射し、その近傍の蛍光を補足するものと、小型の光源を心表面上においてその周囲8点からファイバー束で蛍光を補足する二つの方式を用いた。光源としては高輝度発光ダイオード(HBLED,中心波長470nm)を用いた。蛍光はカットオフ波長580nmのフィルターを介してphotodiodeに入力し、電気信号に変換し、コンピュータ制御のbackground subtractionを行って観察した。このシステムを用いることにより、S/Nの良好な(50〜73)活動電位シグナルを安定して記録できた。光照射中の色素bleachingによるドリフトは-3.6%/minであった。2. 直流通電実験 基本刺激(S1)による活動電位の受攻期に10〜50Vの10ms直流通電(S2)を加えると、通電直後の再分極遅延に続いて、スパイラル型の興奮旋回によるPVTが誘発された。二相波直流通電は単相波直流通電に比べて活動電位の再分極遅延作用が弱く、心室における活動電位持続時間(APD)の不均一性を増大させる作用が少ないことと、PVT誘発頻度が低いことが判明された。
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