研究課題/領域番号 |
10470165
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
横山 光宏 神戸大学, 医学部, 教授 (40135794)
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研究分担者 |
江本 憲昭 神戸大学, 医学部, 助手 (30294218)
川嶋 成乃亮 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (10177678)
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キーワード | 内皮型NO合成酵素 / トランスジェニックマウス / 敗血症性ショック / 血管リモデリング / 接着因子 |
研究概要 |
本年度は、我々の開発した血管壁内皮細胞にeNOS遺伝子を過剰発現させたトランスジェニックマウス(eNOS-Tg)を用い、以下の検討を行った。 1)細菌毒素(lipopolysaccharide:LPS)によるショックに対するeNOS-Tgの抵抗性の検討:eNOS-Tgならびに野生型マウスにLPSを投与し、ショックの程度、臓器障害、死亡率を検討すると、eNOS-Tgでは、LPSにより誘導されたiNOSにより産生されるNOに対する血管拡張反応が減弱しているため、ショックが防止されるとともに、肺の臓器傷害が軽減されることが判明した。この機序として接着因子発現の抑制などの内皮由来NOの抗炎症作用が関与することが明らかになった。そしてこれらの結果、eNOS-Tgでは細菌毒素による死亡率が低下することが判明した。 2)血管リモデリングに対する内皮由来NOの抑制効果の検討:マウスにおいて、総頸動脈結紮による中枢側頸動脈のリモデリングを検討した。このモデルでは内膜、中膜肥厚、並びに血管外周経の狭小を主体とする血管リモデリングが生じる。そしてこのリモデリングがeNOS-Tgでは野生型と比べ抑制されることが判明した。その機序として、頸動脈結紮に伴う内皮細胞での接着因子発現の増加と、その結果生じる炎症細胞の血管壁への浸潤が、eNOS-Tgでは内皮由来NOの過剰産生により抑制されることが関係すると考えられた。このことは内皮由来NOが血管構築の維持因子として働いていることを示唆する所見である。
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