研究概要 |
今年度は1998〜1991年度の脳卒中・心筋梗塞発症者の予後調査の分析を行った。死亡小票と住民票を確認することにより、脳卒中発症者4,363名、心筋梗塞発症者1,027名の生死が確認できた。追跡率はそれぞれ96.7%、96.6%であった。脳卒中発症者のうち脳梗塞発症者2,218名の約10年での累積生存率は38.7%、50%生存期間は7.8年であった。脳出血発症者1,589名ではそれぞれ38.7%、8.1年であった。脳梗塞患者では慢性期の死亡に関与する因子は発症時年齢が高いこと、男性、再発例、心房細動の既往、発症時に意識障害があること、皮質枝梗塞であった。脳出血患者では発症時の年齢が高いこと、男性、再発例、発症時に意識障害があること、出血が大であることであった。心筋梗塞発症者では約10年での累積生存率は41.0%、50%生存期間は7.5年、慢性期死亡に関与する因子は発症時年齢が高いこと、発症前の高血圧の既往、非Q波梗塞、発症時の心不全の存在であった。いずれの病型においても発症後28日間の急性期死亡に関与する因子と共通するものがおおかった。本研究は大規模集団で脳卒中や心筋梗塞の長期生命予後を明らかにしたことで意義深い。今回の分析では全症例を対象とし、生命予後に影響する因子を分析したが、今後急性期死亡を除いた群、あるいは初発例のみ、脳梗塞の病型別、など群を分け分析することで、さらに新しい知見が得られるものと思われる。 また今年度は1988〜1991年度に比し、心血管病の発症に変化があるか、検討するため、沖縄県南部保険所管轄地域での脳卒中・心筋梗塞発症者の登録を行った。現在確認作業を進めている。悉皆性の検討のため、死亡小票の閲覧を申請しているが、まだ許可がおりていない。確認作業・死亡小票との照合がすんだ時点で発症数を確定し、10年間で心血管病発症に変化があったか検討する予定である。
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