研究課題
基盤研究(B)
まず、血管造影装置の開発改良を行った。X線源はシンクロトロンから得られる白色放射光をシリコン結晶を用いて造影剤のK吸収端直上および直下のエネルギーレベルに単色化して用いた。被写体を通過した放射光をX線用増感紙に吸収させ、そこから発する蛍光を高感度型ハイビジョンカメラで2×2cmの視野を撮影した。得られた画像はワークステションを介してデジタルビデオ・スタックフレームメモリーに保存した。この時の1枚のデジタル画像は、1024×1024のピクセルで構成され、各ピクセルの濃度は4096段階で表現した。この撮影システムは空間分解能25μmであり、でラット、家兎、犬の血管に水溶性ヨード系造影剤を注入しつつ撮影を行うと、直径約30μmまでの血管を明瞭に可視化できた。さらにバリウムもしくはセリウム造影剤を併用し、これらの動物の肝臓(肝内胆管と門脈)および肺(肺動脈と気管支)にこれらの造影剤を注入しこのシステムで撮影した。得られた画像をコンピュータ上でデジタル画像処理を行うと、それぞれの脈管を独立して描出することができ、肝内胆管と門脈とは肝臓内をお互いに併走していることが明かとなった。可視化できた最小管腔内径は約30μmであった。さらに、高速メカニカルシャッターを用いて時間分解能の向上を試み、2ミリ秒を可能とした。このシャッターを用いて犬の拍動中の心臓を撮影すると、収縮期途中でもブレのない明瞭な心筋貫通枝の画像を得ることができた。また、実験動物での病的モデル動物の作成も試み、直径15μmのマイクロスフェアーを冠動脈内に選択的に投与することにより、微小血管性心筋虚血モデル動物の作成が家兎および犬で可能となった。
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