研究課題/領域番号 |
10470172
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
成澤 邦明 東北大学, 医学部, 教授 (90004647)
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研究分担者 |
鈴木 洋一 東北大学, 医学部, 助手 (80216457)
呉 繁夫 東北大学, 医学部, 助手 (10205221)
松原 洋一 東北大学, 医学部, 助教授 (00209602)
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キーワード | ホロカルボキシラーゼ合成酵素 / ピオチン反応性 / 遺伝子解析 / 発現蛋白 / Km値 / Vmax値 |
研究概要 |
ホロ力ルボキシラーゼ合成酵素(HCS)は、アポカルボキシラーゼにビオチンを付加してホロカルボキシラーゼにする酵素であり、生体内で重要な役割を果たしている。本酵素の欠損症は新生児、乳児期に重篤な有機酸血症を引き起こすが、これまで報告されている全症例がビオチン反応性を示している。ヒトHCSのcDNAは我々によってクローニングされ、最近ゲノム構造も明らかにされた。本研究の目的はそれらの情報をもとに多くの患者の遺伝子解析を行い、病態を解明することにある。遺伝子解析法として(1)RT-PCRによって増幅されたHCScDNAについて塩基配列を決定する。(2)HCSの翻訳領域は9個のエクソンからなっているが各々のイントロン・エクソン結合部位を含むエクソンを増幅し、各々の塩基配列を決定する。以上の方法で、日本人患者8家系、スエーデン、フランス、ドイツ人の各1家系を解析した。日本人患者ではL237P変異5アレル、deIG 1067変異3アレル、V550M変異2アレル、R508W変異2アレル、R565X.L470S.InsA219変異各1アレルを同定した。一方、ヨーロッパ白人ではIVS10+5(g→a)変異が4アレル、delT1876及びdelC2279変異が各1アレルずつであった。発現蛋白を用いて各変異蛋白の動力学的特性を検討したところ、ビオチンに対するKm値が高値を示すものと全く正常のもの(典型例;IVS10+5(g→a)変異)が存在した。Vmax値はすべて正常よりは低下していたが、その程度はプロピオニルCoAカルポキシラーゼ活性を正常化する能力を持つ程度のものから、わずかに上昇させるにとどまるものまで多岐にわたった。Kmが正常の変異HCSを持つ患者がビオチンに反応する機序は組織ビオチン濃度がKm値よサ低く、通常のビオチン濃度ではHCS活性は全活性を示していないためと考えられる。
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