研究課題/領域番号 |
10470177
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
中澤 眞平 山梨医科大学, 医学部, 教授 (90090034)
|
研究分担者 |
手塚 徹 山梨医科大学, 医学部, 医員
犬飼 岳史 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30293450)
杉田 完爾 山梨医科大学, 医学部, 講師 (60138055)
|
キーワード | 小児急性リンパ性白血病 / 化学療法 / アポトーシス / ステロイド剤 |
研究概要 |
アポトーシスの分子生物学的理解が深まり、その抑制が癌発生の重要な機序の1つであるとともに、抗癌剤の多くがアポトーシスを誘導し効果を発揮することが明らかになってきた。難治性小児急性リンパ性白血病は抗癌剤に耐性であり、その機序の1つとしてアポトーシスに関わる遺伝子の何らかの異常が想定される。我々は難治性小児急性リンパ性白血病の耐性機序の解明のために、小児急性リンパ性白血病に対するkey drugであるステロイド剤によるアポトーシスを、レセプター(GR)発現と、その核移行に関与するシャペロン蛋白の両面からこれまで研究してきた。一方、GRによるアポトーシス誘導の機序として、GR自体のDNA結合能と転写活性化による可能性と、GRがAP-1やNF-κBなどの他の転写因子群の転写活性化能を抑制することによる可能性が報告されている。しかし、実際の白血病細胞でのステロイドによるアポトーシスが、どちらの機序によるのかは結論がでていない。そこで、ステロイド感受性白血病細胞株をGR自体のDNA結合は活性化しないが、AP-1やNF-κBなどの転写活性化能は抑制するステロイド誘導体で処理したところ、アポトーシスは誘導されなかった。一方、ステロイドレセプター・ファミリーに属するPPARγをリガンンドで刺激すると白血病細胞株のアポトーシスが誘導されるが、この場合はレセプターのDNA結合の活性化よりもNF-κBなどの転写因子の抑制が重要であることを明らかにした。これらの知見をもとに、小児急性リンパ性白血病のステロイド剤によるアポトーシス耐性の機序を、GR自体のDNA結合能及び他の転写因子群とのinteractionの面から現在さらに検討中である。
|