研究分担者 |
井原 健二 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80294932)
高田 英俊 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70294931)
大賀 正一 九州大学, 医学部, 助手(併任講師) (60233053)
野村 明彦 九州大学, 医学部, 医員
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研究概要 |
細胞内寄生性細菌感染症で増加するヒトγδT細胞は、早期の生体防御機構として重要な役割を果たしていると考えられているが明らかではない。サルモネラ感染症の全身型で末梢血中に活性化γδT細胞の増加がみられたのでこのような細胞内寄生性細菌に対し、γδT細胞が生体でどのように感染防御に働いているかを検討した。 サルモネラ感染症患者の、血清中IL-12,IL-15,IL-18濃度をIFN-γとともに経時的に測定し,これらのサイトカインのIFN-γ産生における意義をin vitroで検討した.さらに,末梢血リンパ球表面マーカーや各T細胞分画におけるIFN-γ mRNAの発現を経時的に測定し,サルモネラ感染症における主なIFN-γ産生T細胞分画を検討した.血清中のIFN-γ,IL-15,IL-18濃度は,胃腸炎型と比較して,全身型においてより長期間高値が持続した.血清中IFN-γ濃度はIL-12およびIL-18と有意な相関があり,IL-15はIL-18との有意な相関が認められた.サルモネラ生菌刺激による末梢血単核球のIFN-γ産生は,抗IL-12抗体や抗IL-18抗体によって低下し,IFN-γ産生におけるこれらのサイトカインの重要性が示唆された.活性化T細胞数はIFN-γ,IL-15およびIL-18と相関傾向が認められた.活性化γδT細胞数は血清中IL-15濃度と関連する傾向が認められた.サルモネラ感染症患者末梢血γδT細胞はαβT細胞と比較して,より多くのIFN-γ mRNAを発現しており,このIFN-γ産生γδT細胞は,αβT細胞とともに,IL-12,IL-18およびIL-15の複雑な相互作用を介して,ヒトサルモネラ感染症に対する防御機構に重要な役割を果たしているものと考えられた.
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