研究概要 |
本研究において我々は表皮の生体防御機構である辺縁帯の形成機構を細胞生物学的アプローチにより明らかにする。平成10年度において我々は辺縁帯の成分であるインボルクリンとシスタチンAの遺伝子発現調節機構の一端を明らかにし(J Invest Dermatol 110:218-223,1998、J Boil Chem 273:17375-17380,1998)、辺縁帯の成分の1つとされていたプロフィラグリンのアミノ末端ドメインが核内に移行することを示した(Lab Invest 78:1245-1253,1998)。さらに角化細胞辺縁帯の主成分であるロリクリンの遺伝子変異を日本人角化症患者で初めて同定した(J Dermatol Sci 19:44-47,1999)。辺縁帯形成のおきる角化細胞の終末分化はアポトーシスであることを示した(J Histochem Cytochem 47:711-717,1999)。また辺縁帯形成過程におけるロリクリンを示した(J Histochem Cytochem 47:711-717,1999).また辺縁帯形成過程におけるロリクリンの抗原エピトープのマスキングがおきていることを明らかにした(Exp Dermatol 8:402-406,1999)。 平成11年度はこれらの成果を発展させ、角化異常症を引き起こす変異ロリクリンの特異抗体を作成しその蛋白局在をあきらかにした(J Invest Dermatol 112:551,1999)。また辺縁帯に架橋される分化型ケラチンK1の脱イミノ化がヒト表皮各層でおきていることを明らかにした(J Invest Dermatol in press)。
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