研究概要 |
MHCクラスIH-2Kb分子に結合しCTLを誘導できることが知られているHSVgpB,VSVNP,TRP-2,MUT1,OVAペプチドを、テープストリッピングにより角質層除去した皮膚へ塗布した場合、角質層除去後12-24時間で塗布した時に最も強く近傍リンパ節内においてそれらペプチドに特異的なCTLが感作された。 テープストリッピングB6マウス耳翼によるペプチド塗布を行った2週間後に、同マウステープストリッピング腹部による同じペプチド処理を行うと、全身でペプチド特異的CTL活性が高まった。耳翼あたり20〜40μgのペプチド塗布した時、最も強いCTLの感作が観察された。 この方法によりTRP-2(B16メラノーマのエピトープ)またはMUT1(3LL肺癌細胞のエピトープ)免疫したマウスは、それぞれB16細胞または3LL細胞の皮下移植を拒絶した。さらにこの免疫法をB16または3LL担癌マウスに行った時、各々癌細胞増殖の極端な低下が観察された。表皮LCの蛍光DNAの取り込みは角質層破壊直後が最も効率良く、この結果は、経皮免疫法がDNA治療への応用の可能性を示唆させた。 さらに角質層破壊による経皮的免疫法をヒトに応用するためには、TSよりもGSの方が効率的に角質層を破壊できること、年齢に応じた有効なストリッピング回数が存在することが判明した。さらに効果的にGSとペプチド塗布を行えば、経皮的免疫法でヒト生体内でもCTLを感作できることを初歩的に確認することができた。
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