研究課題/領域番号 |
10470188
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 邦彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20110851)
|
研究分担者 |
小阪 博 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10260225)
佐野 栄紀 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80273621)
板見 智 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30136791)
|
キーワード | 乾癬 / トランスジェニックマウス / クロス=プライミング / CD8^+T細胞 / CD4^+T細胞 / 卵白アルブミン / 抗原提示 / ホーミング |
研究概要 |
当研究の目的は乾癬が表皮角化細胞に発現する抗原に対する組織特異的自己免疫疾患とする観点から、乾癬のモデル実験系を構築し、発症機構を解析することにある。前年度までに、in vitroで表皮角化細胞由来の株にケラチン5(K5)プロモーター卵白アルブミン(OVA)を導入、形質転換細胞株を作成し、表皮角化細胞の内因性モデル抗原の提示機能を調べた。次いで、表皮にモデル抗原を発現するトランスジェニックマウスK5-mOVAを樹立したことを報告した。 当年度はin vivoで皮膚に発現する隔絶抗原の提示を調べるために、K5-mOVAマウス及びコントロールとしてプロフェッショナル抗原提示細胞にOVAを発現するH-2-II-mOVAマウスにOVA特異的CD8^+T細胞(OT-I:TCRトランスジェニック由来)を養子移入する実験系を用いた。その結果、ドナーT細胞はK5-mOVAの皮膚所属リンパ節に特異的にホーミング後、細胞分裂し、かつ、活性化の表現型を呈し、表皮角化細胞に発現する内在性抗原がいわゆるクロスプライミングされることを意味した。近年クロスプライミングは自己抗原およびウィルス抗原の提示機構として大いに注目されている。クロスプライミングにより活性化したCD8^+T細胞は通常の抗原提示による活性化と比して、特異的な接着分子の表現型を示した。その接着分子により乾癬においてT細胞浸潤を生じていることが示唆された。 予備的実験として、CD8^+T細胞に分化するOT-IとK5-mOVAのダブルトランスジェニックマウスを作成したところ、発症頻度は高くないが、鱗屑を伴う乾癬様の発疹を呈するマウスがあった。CD4^+T細胞に分化するOT-IIとK5-mOVAのダブルトランスジェニックマウスでは現在の処すべて正常の表現型を呈した。今後、ダブルトランスジェニックマウスを用いる系とT細胞の移入による系を用いて解析を進める。
|