研究課題/領域番号 |
10470190
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 章吾 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60158194)
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研究分担者 |
根本 建二 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10208291)
高井 良尋 東北大学, 医学部・附属病院, 助教授 (50107653)
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キーワード | 癌 / 放射線療法 / 低線量率遠隔照射法 / 超多分割照射 / 定位放射線治療法 |
研究概要 |
私共は既に182例の手術不能進行癌に対して^<60>Co遠隔照射装置を用いて、低線量率遠隔照射を試みてきたが、(1)予想以上に局所制御率が高く、(2)予想以上に障害発生率が高い、という結果を得た。固定式の^<60>Co遠隔照射装置による低線量率遠隔照射のために1門照射しかできず、精度も不良のため、広い照射野を取らざるを得なかった。今回リニアックを用いて3D治療計画あるいは定位照射法よる低線量率照射あるいは超多分割照射法を行うことにより比較的大きな腫瘍に対する線量増加、治療成績向上を計画した。最近一回線量0.5Gyの超多分割照射法は低線量率照射と同様に癌の低酸素細胞に対して有効で、その効果は一日2Gyの通常分割照射法より優れているとの生物学的データが発表された。そこで3D治療計画装置により腫瘍に限局しての超多分割照射法を試みた。1例は57歳男性で食道癌T4N0M0で通常照射法70Gyで腫瘍残存と激しい疼痛を残していた。この症例に1回0.5Gyで1日4回、3日間連続で計6Gy追加した。6ケ月後の現在腫瘍および疼痛の残存を認めるが、腫瘍の増大はなく、超多分割照射法による障害も認めていない。もう1例は61歳女性で膀胱癌の後腹膜リンパ節転移例である。本例も60Gy照射後腫瘍の残存があり、1回0.5Gyで1日4回の超多分割照射法で5日間計10Gy追加した。腫瘍は5×6.5cmであったが、4×4cmに縮小し、中心部は著名な壊死を示し、3ケ月後の現在増大をみていない。本例にも超多分割照射による障害発生は認めていない。本年度は例年500例の放射線治療新患が900例と増加し、また定位放射線治療件数も50例を超えるに至り、超多分割照射に利用できるリニアックの時間が限定された。本年度中に現有3台のリニアックが4台となるので臨床試行は来年度以降本格的に行うことになる。現在は一日2Gyの超多分割照射であるが、一日線量を5Gyまで増加させる予定である。
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