研究概要 |
東北大学サイクロトロンセンター・核薬学講座に依頼していた2-nitoroimidazolcのmethoxyglycerol誘導体であるPR-170のフッ素化がようやく12月に成功した。RP-170は側鎖に二つの水酸基を有するが、このたび得られたフッ素化化合物はこの一方を[18F]で置換したものである。非担癌マウス(WHT/Ht albino)約20μCiのこのフッ素化化合物([18F]RP-170)を尾静脈より静注し10,30,60,120分後に屠殺し血液、脳、肺、心臓、肝臓、牌臓、小腸、腎臓、筋肉、骨、抗睾丸を摘出し、放射線量をオートエル型ガンマカウンターにより測定し、[18F]RP-170の集積率(%Dose/g tissuc)を調べた。その結果、骨を除く全ての組織では時間と共に減少し、ほとんどの組織で120分後の集積量が1%以下となり速やかに排泄されることが判った。神経毒性の指標になると思われる脳への集積も0.743%と少なく問題とはならなかった。骨には経時的に増加する集積(120分で5.882%)が認められたが骨自体へのフリーの[18F]によるのか、骨髄への[18F]RP-170の集積か、今後調べていく予定である。担癌マウスで同様の実験を行ったところ、腫瘍/血液比が扁平上皮癌で1.7にもなり、画像化に必要とされる、1.4〜1.5を大きくクリアーした。また、腫瘍/組織比でもほぼ同様の値となり腫瘍がどのような臓器内にあっても画像化が可能であることが期待できる 結果であった。
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