研究概要 |
抹消動脈のPTA後、内膜の増殖による再狭窄を減少させる目的で、血管内照射が行われつつある。本研究の目的は、血管内膜を構成する細胞に対して放射線照射した際、DNA損傷修復やアポトーシスがどのように起こるのかを調べると共に、有効な再狭窄防止のためのregimenを探ることにある。本年度は、ヒト大動脈平滑筋細胞を用いてPCNA依存性DNA修復の動態を調べた。Lab Tek chamber slide上にconfluentになるまで細胞を増殖させ、X線20Gy照射直後に細胞をメタノール固定し、膠原病患者由来の抗PCNA自己抗体を用いてPCNAの蛍光染色を行った。この条件において、chromatinとATPを消費して堅固な複合体を形成したPCNAのみが検出されることは、すでに我々が明らかにしている(J.Cell.Physiol.,150,370-376,1992)。ほぼすべての細胞の核が強く染色され、ヒト大動脈平滑筋細胞においても、電離放射線照射後のDNA損傷修復にPCNA依存性修復経路が存在することが示された。現在、その修復の時間経過について解析を進めている。 さらに、in vivoでの血管損傷を模擬するcell layer scrape assayを用いて、cell migrationへの照射の影響についても検討している。
|