研究概要 |
画像による遺伝子診断を可能とするために,イメージングに適した金属核種のIn-111あるいはTc-99mでオリゴマーを安定に標識する方法の開発を試みた. モデルのmdr 1アンチセンスオリゴヌクレオチドを合成し官能基を導入した.antisense S-oligo 15merを,通常のフォスフォアミダイト法による固相自動合成により得た.その際,5'末端は炭素鎖6個(C6)のスペーサーを介してチオール基を導入した.この化合物と過剰(10当量)のメアーズ試薬とを反応させた結果,生理的pH条件下で結合反応は進行し,目的物が得られた.精製ははODS逆相クロマトグラフィーで行った. この反応により得られた化合物は,5'末端側に金属キレートであるEDTA構造を有するため,金属アイソトープであるインジウム(In-111)との標識を試みた.反応条件を決定するため,0.01Mリン酸緩衝液(pH5.0),0.01Mクエン酸緩衝液(pH5.5)および0.1M酢酸+0.01Mクエン酸緩衝液(pH5.0)を用い室温で反応させた.その結果,反応3時間後での放射能の収率(標識率)は,それぞれ,7%,15%および27%であった.いずれの条件でも標識はされるものの,収率は目標を下回ったため,反応時間,反応温度ならびに溶液濃度を種々に変化させて反応を再検討したが,有意の収率増加を認めなかった. 以上より,生体内でのターゲティングを向上させる必要があるため,アンギオテンシン-II投与による昇圧操作およびキニナーゼ阻害剤による血管透過性亢進作用によりデリィバリィを向上させる方法を検討した.
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