1)マウス線維肉腫細胞FSa-IIにin vitroでMn-SOD遺伝子導入した細胞株をC3H/Heマウスに移植し、TCD50法とTG50法を用いて、Mn-SOD遺伝子導入により、放射線治療、温熱治療、化学療法の効果が増強することを確認した。 2)Mn-SOD遺伝子導入した細胞株を用いて、スキッドマウスを用いてMN-SOD遺伝子導入細胞株のin vivoでの増殖速度とアポトーシスを検討した結果、Mn-SOD遺伝子導入により組織中のアポトーシスの発現は減少した。増殖速度は軽度減少するものの優位ではなかった。新しい顕微鏡システムを作成し、アポトーシスをAnnexin-V EGFPとPIを用いて検討する方法を開発し解析した結果、Mn-SOD遺伝子導入により、温熱治療後のアポトーシスは増加した。 3)In vitro細胞培養系転移モデルとしてFSa-II細胞にin vitroでMn-SOD遺伝子導入した細胞株を用いて、培養装置付き顕微鏡に経時的ビデオ撮影装置を接続して、in vitroでの細胞運動を観察したが、Mn-SOD遺伝子導入による著明な変化は見られなかった。 4)Mn-SOD遺伝子を含むプラスミドベクターのin vivoエレクトロポレーション法によるマウス移植腫瘍FSa-IIに対する導入により、ベクター濃度が高いほど、また導入後3日目で組織内のMnSOD活性の発現が増加した。 5)FSa-II細胞を用いてin vivoで腫瘍を形成し、Mn-SOD遺伝子を含むプラスミドベクターとin vivoエレクトロポレーション法を用いて遺伝子導入し、3日後に温熱療法および放射線治療を行うと、TG50法およびTCD50法での解析で、コントロールと比較して優位に腫瘍増殖速度が遅延し、腫瘍制御率が向上した。実験に先立って、高エネルギー放射線照射により動物に対して放射線照射実験を行うシステムを開発した。1回大線量の放射線治療を行う実験系においてはMn-SOD遺伝子のin vivo導入は、悪性腫瘍に対する放射線治療の効果増強に役立ち、また温熱療法の効果を増強することが明かとなった。
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