研究分担者 |
沓澤 智子 東海大学, 健康科学部, 助教授 (10183310)
灰田 宗孝 東海大学, 医学部, 講師 (20208408)
鈴木 豊 東海大学, 医学部, 教授 (70019967)
大泉 幸雄 東海大学, 医学部, 助教授 (30024813)
村山 千恵子 東海大学, 医学部, 助手 (50307295)
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研究概要 |
【目的】放射線治療の抵抗性因子として腫瘍内の低酸素性細胞がある.腫瘍内の低酸素性細胞の割合つまり腫瘍の酸素状態を知ることは,治療方針の決定にとって重要である.そこで我々は放射線治療患者を対象にして近赤外分光法を用いて腫瘍の血流状態およびの酸素化率を測定し,治療効果との関係を検討した.【方法】対象腫瘍部位:頸部2例,腋窩1例,乳房1例,鼡径部2例 放射線治療:2Gy/日,5回/週の均等分割照射および若干の変法 測定装置:島津無侵襲酸素モニタOM-200(近赤外光を用いて組織中のoxy-Hb,deoxy-Hb,total-Hb,酸素化率を計測)測定時期:初回放射線治療前,以後経時的に測定 【結果】照射により有効な腫瘍縮小を示した症例では,照射開始1週間後より腫瘍の酸素化率が増加し始め,その傾向は照射期間中継続した.一方有効な腫瘍縮小効果の得られなかった症例では,治療開始後も目立った酸素化率の変化は見せず2〜3週間経過後で僅かな上昇を示したものの予定線量照射終了後でも腫瘍は残存し、残存腫瘍中の酸素化率な照射前より低く、血流量も大きく低下していた。全体として治療開始前の酸素化率が70%以上の症例で放射線に対して高感受性を示す傾向であった.乳癌症例では照射後温熱療法を併用したが温熱初回治療では血流量が顕著に増加しそれに伴って酸素化率も有意に増加した.温熱治療2回目では血流量の増加は初回ほど大きくなく酸素化率の増加も少なかった.これは2回目の温熱では,初回ほど高温度が維持できなかったこと、または初回治療により血管系が損傷した可能性が考えられた. 【まとめ】まだ症例数が少ないため,傾向しか得られていないが,治療開始前の酸素化率が70%以上の症例でlOGy照射後から腫瘍内の酸素化率が増加する腫瘍は放射線に対して高感受性を示し,有効な腫瘍縮小効果が期待できそうである.
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