研究課題/領域番号 |
10470202
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
神庭 重信 山梨医科大学, 医学部, 教授 (50195187)
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研究分担者 |
竹内 潤一 山梨医科大学, 医学部, 助手 (20303422)
久保田 正春 山梨医科大学, 医学部, 助手 (60234499)
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キーワード | サイトカイン / インターロイキン1 / 腫瘍壊死因子 / バソプレッシン / ストレス |
研究概要 |
うつ病者では、血中コルチゾル、CRH値の増加、デキサメサゾン抑制試験、デキサメサゾン-CRH負荷試験の結果で示されるように、視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA系)に異常があると考えられている。また、さまざまな報告は、リンパ球幼若化反応や、NK細胞活性の変化で示されるような免疫系の変化をしねし、近年血中のサイトカインの濃度や機能に変化があるとする報告が散見されるようになっている。われわれは、サイトカインのHPA系に及ぼす影響について検討を続けている。 本年度は、HPA系の要素の中でもとくに脳内の房室核において産生され、下垂体門脈系を経てACTHの分泌に影響を与えることが知られているバソプレッシンを指標として用いた。すなわち、マイクロダイアリシス法によって経時的に房室核でのバソプレッシンの遊離をモニターしながら、同部位にサイトカインを微量注入し、それによるバソプレッシンの遊離の変化を検討した。我々は、インターロイキン1β、腫瘍壊死因子、インターフェロンに関して検討を行ったが、インターフェロンでは注入30分後に、腫瘍壊死因子では、その後徐々にバソプレッシンの遊離を増加させていった。また、これらの効果は、同部位に事前に投与されたインターロイキン受容体阻害薬によって抑制された。これらのことからインターロイキン1β、腫瘍壊死因子によるバソプレッシンの遊離促進反応はともにインターロキン受容体を介して作用していることが明らかとなった。また、プッシュ=プル法を用いて行った検討では、房室核で、腫瘍壊死因子が同部位でのインターロイキン1β量を増加させることも確認された。 さらに、ラットの脳内でサイトカイン含量がストレスで変化するかどうかを確認するために、ラットに拘束ストレスを加え、拘束直後に断頭して脳を各部位に分け、ホモジナイズした上で遠心し、その上清をELISAによって定量した。拘束ストレスは時間展開を行い、30分、1時間、2時間、3時間とで検討を行った。この結果、線状体における検討では、腫瘍壊死因子の含量は30分後、3時間の2峰性のピークをしめした。これらの脳内サイトカインの変化は、HPA系の制御に影響を与えていると考えられる。
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