研究課題/領域番号 |
10470207
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
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研究分担者 |
斉藤 浩之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20311532)
鳥本 悦宏 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00281882)
中村 正雄 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30109516)
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キーワード | トランスフェリン受容体 / HFE / Nramp2 / 骨髄異形成症候群 / トランスフェリン |
研究概要 |
細胞内鉄過剰の機序を明らかにするため、細胞内への鉄輸送に関与する分子群に関して以下の検討を行った。始めに、細胞内に鉄を取り込む最も重要な細胞表面機能分子であるトランスフェリン受容体(TfR)の発現が細胞内の鉄濃度に依存しないで調節される機序を検討した。その結果、炎症性サイトカインであるIL-6や、アルコールによってTfRの発現が増強されることを見いだした。次に、TfRの機能を調整している遺伝性へモクロマトーシスの原因遺伝子であるHFEの生理的な機能を検討するため、ヒト肝細胞株chang細胞からHFE cDNAをクローニングし、本遺伝子を肝癌細胞株で強制発現させた遺伝子導入株を樹立し,細胞内の鉄代謝について検討した.その結果、HFE蛋白は、TfRのtransferrinに対する親和性と細胞表面TfR数を減少させただけでなく、transferrin recyclingにおけるrecycling endosomeから細胞表面へ戻る過程を遅延させる機能を持ち、細胞内鉄蓄積を妨げる働きを有していることを明らかにした。最後に、recycling endosomeから細胞質への鉄イオン輸送を行なっているNramp2蛋白の生理的機能を検討するため、Nramp2蛋白を肝癌細胞株に強制発現させ鉄の取り込みに関する検討を行った。この遺伝子導入細胞株では、TfRを介する鉄の取り込みやそのrecyclingに関しては影響を及ぼさなかった。しかし、消化管上皮で見られるような自由鉄の取り込みに関与している可能性はあり、今後の検討を予定している。骨髄異形成症候群を代表とするミトコンドリアへの鉄貯留機序を明らかにする上で、アルコール摂取におけるミトコンドリアへの鉄貯留機序の解析や、種々の機能分子を介した細胞内鉄を増加させる機序を明らかにすることは、重要な情報を得られるものと考えられる。
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