研究課題/領域番号 |
10470216
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
土井 俊夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60183498)
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研究分担者 |
堀内 久徳 京都大学, 医学研究科, 助手 (90291426)
久米 典昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (20252455)
横出 正之 京都大学, 医学研究科, 講師 (20252447)
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キーワード | メサンギウム細胞 / 転写因子 / MSW / TGF-β / 核転送 / 糸球体硬化症 |
研究概要 |
糸球体硬化症の病変の中心部位はメサンギウム細胞であり、そのメサンギウム細胞の機能異常や形質変化が本症発症および進展の最も重要な因子であると考えられるようになった。メサンギウム細胞の増殖や細胞外基質産生増加に種々の増殖因子の関与の報告があるが、これらを直接誘導する転写因子は解明されていない。本研究は進行性腎障害の三大病変である硬化、増殖、分化の制御を直接行う新たなkey moleculeであるMSWの意義を始めて明らかにするものである。MSWはIV型コラーゲンのみならずプロピオメラノコルチンやアンギオテンシノーゲシノーゲンのプロモーター結合蛋白であり、DNA複製因子C(large subunit)でもある。このMSWは平滑筋細胞形質と逆相関し、メサンギウム細胞に対してアンチセンス導入により平滑筋基質が誘導され、増殖抑制が起こることを証明した。またアンチセンス導入細胞ではMSWの発現が核内より細胞質への転送がおこっていることを認めた。このようなMSWの核よりの転送はconfluent部分の細胞でも認め、IV型コラーゲンの発現増強も存在した。Heat ShockProtein 70の機能を明らかにするため、そのアンチセンスをメサンギウム細胞に導入したが、MSWの転送は惹起できなかった。しかしTGF-βの添加はMSWの核より細胞質への転送を明らかに誘導していることが明らかとなった。新たな転写因子であるMSWがその発現局在の変化によっても各種遺伝子発現の制御を行うことが解明された。
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