研究概要 |
アドレノメデュリン(AM)およびCGRP受容体は、7回膜貫通型のCRLR(calcitonin receptor-1ike receptor)とその発現や活性を補助するRAMP(receptor activity modifying protein)の共発現により構成され、CRLRとRAMP1によりCGRP受容体が、CRLRとRAMP2によりAM受容体が形成される。 本年度の研究では、作用機序解明の一環として、マウスAM受容体の構造解析と敗血症の病態モデルにおける受容体の発現解析を行った。マウスおよびRAMP1,2,3のcDNAのクローニングを行った結果、CRLRはヒトおよびラットCRLRとアミノ酸配列でそれぞれ88.4%、94.6%と非常に高い相同性を示した。一方、マウス RAMP1,2,3はヒトRAMPsとそれぞれ66.4%、48.8%、79.0%の相同性であり、特にRAMP2においては相同性が低かった。つぎにこれらの発現組織の分布を検討したところ、CRLRとRAMP2は肺に強く発現し、RAMP1は脳や胸腺、RAMP3は脳、腎、精巣と特徴的な分布を示した。LPS投与12時間後のCRLRとRAMP2は、肺での発現が著明に減少し、RAMP3は肺で著明に増加した。また、RAMP3は脾臓や胸腺でも著しい増加を示した。RAMP1は胸腺での発現が減少していた。RAMP1,2は敗血症モデルで発現が減少傾向にあるのに対して、RAMP3は逆の変化を示した。肺での各遺伝子の発現を経時的に検討した結果、CRLRとRAMP2のmRNAはかなり急速に減少し、LPS投与後3時間前後で最低となり、以後12時間まで変化しなかった。RAMP3は、病態末期になってかなり上昇することがわかった。AMの血中濃度は、LPS投与後速やかに上昇する。肺はAMの主要結合部位であることから、敗血症における血中AMの顕著な増加は、AMの遺伝子発現・分泌の増加に加えて、肺においてCRLRとRAMP2で形成されるAM結合部位が著明に減少することも関係していると思われる。
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