研究概要 |
本研究では、インスリン抵抗性を惹起する候補遺伝子の解析や候補蛋白の機能の解析を行い、in vivoのインスリン感受性の指標との関連を明らかにすることを目的に、1)チロシンキナーゼ阻害物質PC-1の培養皮膚線維芽細胞における活性が、インスリン抵抗性と相関すること、2)インスリン抵抗性改善薬の有効性が2型糖尿病患者の投与前におけるインスリン抵抗性指数や血清レプチン値と相関すること、などを明らかにしてきた。本年は、昨年より引き続きPPAR-γ2遺伝子のPro12Ala変異と2型糖尿病患者のインスリン抵抗性やインスリン抵抗性改善薬の効果との関連を検討したが、有意な相関は認められなかった。 罹患同胞対法は発症遺伝子座位の同定に有用なアプローチである。我々は、270組の2型糖尿病の同胞対を対象として、ゲノムワイドスクリーニングを行い、2型糖尿病と連鎖する遺伝子座位を375個の遺伝子マーカーを用いて検索した。その結果、有意なロッドスコアを示す座位として6か所(D5S1453,D6S1009,D20S107,D21S1440,D21S266,D22S420)を同定した。さらに、若年発症糖尿病の臨床像と遺伝子変異の関連を明らかにする目的で、比較的若く腎症が出現し、50歳未満で血液透析を導入した54例を対象として、MODY-5(HNF-1β)とミトコンドリア3243位変異(A→G)を検討した。その結果、若年発症2型と思われる42例中6例にミトコンドリアDNA3243変異を見出したが、HNF-1βの変異はなかった。
|