研究概要 |
1.チロシンキナーゼ阻害物質PC-1とインスリン抵抗性: 2型糖尿病(NIDDM)患者より同意を得て、前腕皮膚の生検を行い、線推芽を培養し、PC-1活性を測定した。その結果、NIDDMでは健常潮対象に比べてPC-1活性が高く、インスリン抵抗性とも相関が認められた。 2.インスリン抵抗性改善薬の有効性の予知指標としての血中レプチン値: インスリン抵抗性改善薬トログリタゾン投与法例45例を著効、軽度有効、無効の3群に層別し、治療前の代謝指標との相関を検討した。その結果、トログリタゾンの臨床効果は、投与前のHOMA-R(インスリン抵抗性指数)と血中レプチン値とよく相関し、血中レプチン値も本剤の有効性の予知指標となりうることを示した。 3.PPAR-γの遺伝子多型とインスリン抵抗性: PPAR-γはインスリン抵抗性改善薬の結合部位で転写調節に関与する。PPAR-γ2遺伝子多型Pro12Alaとインスリン抵抗性やインスリン抵抗性改善薬の効果との関連はなかった。 4.罹患同胞対法による2型糖尿病の遺伝子座位の同定: 270組の2型糖尿病の同胞対を対象としてゲノムワイドスクリーニングを行い、2型糖尿病と連鎖する遺伝子座位を6か所の(D5S1453,D6S1009,D20S107,D21S1440,D21S266,D2S420)同定した。 5.若年発症2型糖尿病の臨床像と遺伝子変異: 50歳未満で透析導入した腎症患者54例を対象にMODY-5(HNF-1β)とミトコンドリアDNA3243変異(A→G)を検討した。その結果、若年発症2型糖尿病と思われる収例中6例にミトコンドリアDNA3234変異を見出した。
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