研究課題
基盤研究(B)
本研究では、脊髄内視鏡の拡大視機能を用いて異なる条件でブロックを行い、その効果を脊髄誘発電位の変化から判定する手法を考案し、如何にしてどの程度選択性を高められるかについての検索を行った。方法:成ヤギを用い、麻酔下に下部胸椎で椎弓切除を行った。下部胸椎間で開窓後、硬膜に小切開をいれ、クモ膜下腔に内視鏡を挿入して内腔を観察した。内視鏡としては、外径1.8mmのものを用いた。内視鏡で位置を確認しつつ脊髄誘発電位の導出用の、多極電極(8極)脊髄後面に挿入し、電極と神経根の位置関係を確認した。Th10-12の肋間神経の刺激電極からの短形波通電に対して、双電導出の位置を頭側から尾側に変えつつ脊髄誘発電位を導出した。誘発電位の特徴と内視鏡所見から、被刺激神経と内視鏡下の後根との対応関係を推定した。次に目的の神経根に対し、内視鏡を用いてごく近傍で観察しつつ以下の条件で処置を行い、得られる誘発電位の変化を観察した。条件:Th11の進入部付近で0.3mlの3%キシロカインを投与。条件2:Th11の椎間孔近傍で約0.1mlの3%キシロカインを投与。結果:条件1:Th11進入部付近で0.3mlの局麻酔を投与した場合、投与直後からTh11刺激により、Th11進入部から導出される誘発電位の振幅の減少がみられた。この場合、Th12刺激では、その部位での分節性の電位には著明な影響がみられなかったが、ブロック部位より頭側への伝導性誘発電位には振幅の減少がみられた。条件2:Th11の椎間孔近傍で約0.1ml投与した場合、Th11進入部位から導出される分節性の誘発電位も上方への伝導性の電位も変化した。1.ブロックの拡がりを、脊髄誘発電位の変化の有無で確認することが可能であった。2.脊髄内視鏡で構造を確認しつつ、脊髄誘発電位を測定する手法を用いて、ブロックの選択性を一本の後根レベルまで高めることが可能と思われる。
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