研究課題/領域番号 |
10470240
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶌原 康行 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30196498)
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研究分担者 |
山本 成尚 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30253298)
山本 雄造 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70281730)
山岡 義生 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90089102)
河田 則文 大阪市立大学, 医学部, 助手 (30271191)
飯室 勇二 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30252018)
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キーワード | 肝不全 / 肝再生 / 肝細胞 / 細胞外マトリックス / 星細胞 / 細胞培養 / 供培養 / 肝線維化 |
研究概要 |
肝細胞と星細胞の増殖における細胞間相互作用の解明 ラット肝により分離した肝細胞と星細胞を混合培養し、それぞれの細胞の増殖動態について検討した。細胞増殖動態について単位面積あたりの細胞数の変動を調べた。BrdU(0.1mM)を添加し、その取り込みを抗BrdU抗体を用いて調べた。また培養上清中に存在する増殖因子活性について検討した。また、Culture insertを用いて肝細胞・星細胞の接触を伴わない共培養も作成し、DNA合成能について比較検討した。結果:肝細胞を単独で培養すると、接着細胞数は経時的に減少したが、星細胞と混合培養すると有意な増加は認めないものの、培養後2,3,4日目において単独培養に比べ細胞数が有意に維持された。また、2日目の肝細胞のBrdUの取り込みに関しても両群で有意差を認めた(5.7%VS17.3%)。また、肝細胞に星細胞の培養上清(ScM)を添加した2日目のBrdU取り込み率も14%と有意に増加した。次ぎに2日目の細胞接触を伴う共培養と細胞接触を伴わない共培養のDNA合成能を比較したところ、細胞接触を伴わない共培養群の方が亢進していた(45%)。一方、星細胞のBrdU取り込み率は、単独培養2日目では5%前後であるのに対して、肝細胞と混合培養すると41%にまで著明に増加した。また、星細胞に肝細胞培養上清(PCcM)を添加しても、BrdU取り込み率は、15%と有意に増加した。PCcM中の星細胞増殖活性に関して50kDa以上のフラクションに活性があることが判明した。また、IGF中和抗体によって有意に抑制された。以上、肝細胞は星細胞と混合培養することによって単独培養よりも細胞数が維持された。その原因として星細胞から肝細胞の増殖因子が放出されている事があげられるが、一方で両細胞の接触を伴う時にはその肝細胞増殖を抑制する何らかのmechanismも働いている可能性がある事がわかった。また、培養肝細胞は星細胞の増殖因子を産生し、50kDa以上のフラクションに強い活性が認められ、その活性はIGF-1中和抗体で抑制された。
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