研究課題/領域番号 |
10470240
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶌原 康行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30196498)
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研究分担者 |
山本 成尚 京都大学, 医学研究科, 助手 (30253298)
山本 雄造 京都大学, 医学研究科, 講師 (70281730)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
河田 則文 大阪市立大学, 医学部, 助手 (30271191)
飯室 勇二 京都大学, 医学研究科, 助手 (30252018)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 肝不全 / 肝再生 / 肝細胞 / 細胞外マトリックス / 星細胞 / IV型コラーゲン / 細胞培養 / 肝線維化 |
研究概要 |
1.【肝不全時の血中および肝組織IV型コラーゲン】肝不全患者では、肝細胞外マトリックスの一つである血中IV型コラーゲン値が異常に上昇し、肝組織検査においてもDisse腔にIV型コラーゲンが大量に沈着していた。また、血中IV型コラーゲン値は肝硬変患者で高値を示し、肝切除の危険性予知の新たな指標になり得る。これらの知見は、血中IV型コラーゲン値が従来の肝機能指標では捉えられない「手術による影響-悪化の度合い」をより正確に反映するすることを示す。 2.【肝細胞・星細胞供培養】解剖学的に肝細胞に最も近接している細胞であり、細胞外マトリックス産生の中心を担う星細胞と肝細胞の供培養系を確立した(in vitro実験系の確立)。これは、肝細胞・星細胞間の相互作用の解明に有用である。 3.【肝細胞・星細胞相互作用】星細胞と供培養した肝細胞では、DNA合成および細胞増殖が促進することが判明した。この機構として、細胞接触より星細胞から産生される液性増殖因子の関与が示唆された。この増殖因子は、HGF、EGF、IGFなどの既知の増殖因子とは異なるものと考えられた。 4.【星細胞活性化制御法としてのNACの効果】細胞外マトリックスの生成をコントロールする方法として、酸化ストレスに対して有効とされるNAC(N-acetyl cysteine)に着目し、慢性肝障害モデルとしてのTAA肝硬変ラットおよび胆管結紮による黄疸ラットにおいてその効果を見た。TAAラットでは、NACは肝硬変進展を阻止するばかりでなく、完成した肝硬変をも正常化せしめる効果が見られた。黄疸ラットにおいても同様に線維化抑制効果をみた。 5.【NAC効果の機序】in vitro星細胞培養系によって、この効果はNACのradical scavengerとしての作用ではなく、PDGFレセプターの分解により星細胞の増殖が抑制されるという新たな機序であることが判明した。今回の研究では、細胞外マトリックス増加モデルとして既に確立しているTAA肝硬変ラットおよび閉塞性黄疸ラットを用いたが、肝切除、虚血再潅流障害、エンドトキシン血症などにおいても同様に、細胞外マトリックスが異常に増加し肝不全に繋がることが示唆される。
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