研究課題/領域番号 |
10470249
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松下 通明 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (20250425)
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研究分担者 |
村林 俊 北海道大学, 工学部, 助教授 (30200306)
藤堂 省 北海道大学, 医学部, 教授 (60136463)
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キーワード | ハイブリッド型人工肝臓 / 肝細胞スフェロイド / 細胞外基質 / 酸素消費量 / 人工血液 |
研究概要 |
1. 肝細胞スフェロイドの大量作成技術の確立 短時間で大量の肝細胞スフェロイドを作製する事を目的とし、スピナーフラスコでの48時間の旋回培養にてラット肝細胞スフェロイドを作製した。肝細胞の分離はコラゲナーゼ灌流法で行ったが、その際の灌流液へのEGTA、Ca(EC)添加の有無がスフェロイドの形成率、形成量、尿素合成能に及ぼす影響を検討した。形成率はEC添加の有無で差を認めなかったが、形成量はEC無添加により約2倍に増加し、またEC無添加群は尿素合成能においても優れていた。EC無添加潅流液により高機能の肝細胞スフェロイドを短時間で大量に作成することが可能となった。 2. スフェロイド充填型人工肝モジュールの作製 ラット肝細胞スフェロイドを小型膜型血漿分離機のextracapillary spaceに1g充填することにより小スケールの人工肝モジュールを作製し、潅流培養条件下での尿素合成能を検討した。灌流培養条件下でも肝細胞スフェロイドは静置条件下と同様の高機能の尿素合成能を発現した。 3. 人工血液の人工肝への応用のための基礎実験 肝細胞を使用した人工肝において、酸素の供給は重要であり、肝細胞への酸素供給の方法の一つとして人工血液の使用が考えられる。そこで、遊離肝細胞を、培地、人工血液を含む培地、赤血球を含む培地に浮遊させその酸素消費速度を測定し人工血液の効果を検討した。人工血液は、o-raffinoseでヒトヘモグロビンを分子内および分子間架橋したものを使用した。肝細胞の酸素消費速度は、人工血液溶液中、赤血球溶液中、培地の順で高く、人工血液中と培地、赤血球溶液と培地の間で有意差を認めた。人工血液は遊離肝細胞に対し赤血球と同等の酸素供給能を有し、肝細胞を用いた人工肝臓に対する酸素供給の1手段になりうると考えられた。
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