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1998 年度 実績報告書

Small-for-size肝移植の検討;安全な成人間生体肝移植の確立を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 10470250
研究種目

基盤研究(B)

研究機関北海道大学

研究代表者

古川 博之  北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (70292026)

研究分担者 大村 孝志  北海道大学, 医学部・附属病院, 医員
藤堂 省  北海道大学, 医学部, 教授 (60136463)
キーワードsmall-for-size肝 / 大量肝切除 / エンドセリン-1 / TAK-044 / 成人生体部分肝移植
研究概要

small-for-size肝の肝移植における病態の解明とこの改善が実験の主旨である。まず、ラットにおける肝亜全摘後急性肝不全のモデル用いることにより、大量肝切除時の病態特にエンドセリン-1(ET-1)の役割に注目して実験を行った。肝亜全摘後には、全門脈血流が小遺残肝を通過し類洞の障害を来す。これまでのラットを用いた実験で肝亜全摘後、門脈圧を減じることにより生存率が改善することが知られている。また、血管収縮ペプチドであるエンドセリン-1は障害肝において類洞の抵抗を高め、肝の微小循環障害を引き起こすことが報告されている。このことから、我々は、ET-1が肝亜全摘後の肝障害に深く関係していると考え、肝亜全摘後に門脈圧減圧を図ることがET-1を減少させ、結果として肝障害を軽減させるという仮説を立てた。この仮説を証明するため、ラットを用いた85%肝切除モデルにおいて、脾臓皮下埋没法(STS)とET-1アゴニストであるTAK-044による2つの門脈圧減圧法を行い、これらの肝機能並びに肝よりのET-1産土に及ぼす影響を調べた。85%肝切除後48時間後の生存率は、STSで83.3%、TAK-044投与群75.0%と無治療群の33.3%に比べ有意に改善した。肝上部下大静脈における血漿中ET-1は85%肝切除後すぐに上昇し48時間後も約2.0pg/mlと高値を示した。これに対してSTS群では肝切除後6時間のET-1は有意に低値となったが、TAK投与群では、肝切除後48時間後までET-1が有意に高値を示しておりET-1リセプターのブロックが示唆された。肝切除後、血漿中ET-1レベルは、AST値と正の相関を示し、肝血流と負の相関を示した。STS群並びにTAK-044投与群においては、肝切除後6時間で有意に肝組織血流の回復がみられ、ASTの上昇が抑えられた。これらの結果より、大量肝切除後の急性肝不全は、ET-1の上昇が起こりこれに伴った肝内循環の障害により引き起こされるものと考えられた。

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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