研究課題/領域番号 |
10470250
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 博之 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (70292026)
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研究分担者 |
大村 孝志 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (40312350)
藤堂 省 北海道大学, 医学部, 教授 (60136463)
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キーワード | 成人間生体肝移植 / 微小循環 / 類洞内皮細胞 / ヒアルロン酸 / エンドセリン・1 |
研究概要 |
成人間生体肝移植で問題になる small-for-size 肝移植の術後遷延する肝機能障害を微小循環と類洞内皮機能から解析するためビーグル犬に70%、85%肝切除を行った。方法:ビーグルに70%(n=5)、85%の切除(n=6)を行った。14日生存率、門脈圧、肝組織血流、門脈血流・肝動脈血流、末梢血ヒアルロン酸(HA)・エンドセリン(ET)濃度、総ビリルビン値、AST値を測定した。結果:70%肝切除犬は4頭、85%は1頭14日生存した。門脈圧は75%群で2倍に上昇し2日後前値に復したのに対し、85%群は2.5倍となり、14日でも前値に復することはなかった。75%群の肝組織血流は切除後1.5倍に上昇したのに対し、85%群は約2倍となった。75%群の肝臓100g当たりの門脈血流は術後1時間で約3倍になったのに対し動脈血流は1/2になった。85%群では門脈血流が約3倍になった。切除後12時間目HAは75%群で1068(ng/ml)であるのに対し85%群では3024となり有意に高値であった。切除後12時間目ETは75%群で2.10(pg/ml)であるのに対し85%群では7.45となり有意に高値であった。T-Bilは75%群が85%群に比べ有意に低値だったがASTに有意差は無かった。結語:肝切除による血管床の減少で過度の門脈血が肝臓に流入し類洞が相対的に狭小化した。そのため門脈圧が亢進し類洞内皮障害から実質細胞障害に発展した。ETの発現が増幅され門脈圧亢進が継続した。HAの変化からその後の類洞内皮障害は術後も続き高ビリルビン血症が遷延したと考える。以上の実験結果から、small-for-size肝移植において移植後おこる単位肝重量あたりの血流増加を制御できれば術後遷延する肝機能障害を阻止することが出来ると考えられる。
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