研究課題/領域番号 |
10470252
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福島 浩平 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20271900)
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研究分担者 |
舟山 裕士 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (50192315)
内藤 広郎 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90180223)
佐々木 巌 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60125557)
大谷 明夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30133987)
笹野 公伸 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50187142)
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 炎症性腸疾患 / 上皮細胞 / 分子生物学 |
研究概要 |
1、遺伝子スクリーニングの継続 腸内細菌導入モデルを用いて、上皮細胞に発現する生体防御および消化管炎症関連遺伝子のスクリーニングを継続し、前年度までの120通りのDifferential displayに加えさらに180通りのdisplayを追加した。サブクローニングについては前年度までの23クローンに加えさらに63クローンを終了した。これらのクローンは、1)腸内細菌の導入に無関係で小腸上皮に選択的に発現、2)大腸上皮に選択的に発現、3)腸内細菌の導入により発現亢進、4)腸内細菌の導入により発現減少、に分類される。このうち未知の遺伝子はほぼ60%を占める。 2、同定遺伝子の機能解析(serum amyloid A(SAA)を中心に) 昨年度までに、SAAの発現はRNAおよび蛋白レベルで潰瘍性大腸炎、クローン病症例では有意に増加し、in vitroの系でIL-1などのproinflammatory cytokineで刺激すると、大腸癌上皮細胞株にSAA遺伝子の誘導が認められることを明らかにした。本年度では、上記のSAA遺伝子の誘導は粘膜固有層単核球の細胞上清でも生じ、しかもdextran sulfate sodium誘導腸炎など消化管炎症に普遍的であることを明らかにした。さらにrecombinant SAAを用い、SAAがlipopolysaccharide(LPS)刺激による単核球からのIL-1β、IL-10分泌を抑制することを明らかにした。この事実は、上皮細胞の産生するSAAが腸内細菌の存在という特殊環境において、LPSに対する過剰反応を抑制する系として働く可能性を示している。 以上のように、今まで全く注目されていなかった分子が、消化管生体防御機構や炎症性腸疾患に関わることを明らかにしつつある。
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