研究課題/領域番号 |
10470255
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀬戸 泰之 東京大学, 医学部・附属病院・分院, 講師 (00260498)
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研究分担者 |
津野 ネルソン 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282637)
名川 弘一 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80228064)
北山 丈二 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20251308)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | ケモカイン / MIP1β / 胃癌 / 免疫染色 |
研究概要 |
[目的]癌組織内には一般的に多数の炎症性細胞の浸潤が認められるが、その程度は癌の発生母地、組織型によって大きな差が認められる。一般に、この細胞浸潤は癌を排除するための生体反応の一種であり、癌の発育を抑制する働きがあると考えられている。ケモカインは白血球の浸潤を誘導する物質で、炎症組織に豊富に存在することが知られているが、癌組織における発現の程度、病理学的意義については全く検討されていない。そこで、今回、単球、リンパ球の遊走を促すケモカインとして知られているMIP-1βにしぼって、胃癌組織での発現を免疫組織学的に解析し、臨床病理学的因子、患者予後との関係を検討してみた。[方法]当科で切除された胃癌症例86例のホルマリン固定標本を、抗MIP-1β抗体(R&D社)、ABC法を用いて免疫染色した。[結果]胃癌86例(男:53、女:33)、平均年齢:57.2歳。正常胃粘膜におけるMIP-1βの発現は主に腺管細胞の細胞質に認められ、その発現率は61.6%であった。胃癌細胞での発現も癌細胞の細胞質内に認められたが、その発現率は分化度によって異なった。高分化癌(papillare/tubilare type)では34.6%に発現が認められたのに対し、低文化癌のうち、poorly medullareでは全く発現が認められなかった。一方、印環細胞癌(signet ring type)では、74.4%と逆に高率に発現していた。また、MIP-1βの発現と白血球の浸潤程度とは明らかな相関関係は認められなかった。[結論]MIP-1βは正常胃粘膜、胃癌細胞で定常的に発現していることが見出された。一般にその発現度は、正常腺管と比べ、癌化した腺管で減弱し、分化度と相関する傾向が認められた。例外として、印環細胞癌に強く発現しており、炎症性細胞の浸潤よりは、むしろ癌細胞の浸潤現象と関係している可能性が示唆された。
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