研究課題/領域番号 |
10470256
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森本 泰介 京都大学, 医学研究科, 講師 (60135910)
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研究分担者 |
飯室 勇二 京都大学, 医学研究科, 医員 (30252018)
山本 雄造 京都大学, 医学研究科, 助手 (70281730)
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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キーワード | 肝細胞増殖 / 細胞外マトリックス(ECM) / Matrix metalloprotease(MMP) / adenovirus vector / BrdU labeling index / 肝細胞増殖因子(HGF) / 肝細胞増殖開始機構 |
研究概要 |
細胞外マトリックス(ECM)調節による肝細胞増殖促進方法の開発を目指して、ヒトpro-Matrix metalloprotease(MMP)-1 cDNAを自己増殖能欠損adenovirusに組み込んだMMP-ladenovirusを作製し、雄性SDラットに全身投与した。71または95時間後にBrdUを腹腔内投与し、その1時間後のBrdU labeling indexで細胞増殖能を検討した。さらにMMP-1発現後の増殖因子の影響を検討するため、MMP-1 adenovirus感染後72時間に、肝細胞増殖因子HGFを静注投与し、同様に96時間後のBrdU labelingindexと、肝組織での肝細胞分裂像と細胞密度を検討した。その結果、MMP-1adenovirus感染後48-96時間の肝組織抽出液にpro-MMP-1とMMP-1の両者を検出し、ラットin vivoにおけるヒトMMP-1活性化機構の存在が示された。さらに感染後72および96時間のBrdU labeling indexは、MMP-ladenovirus群で対照群と比較して有意に高値をとり、またMMP-1 adenovirus群における肝細胞分裂像と細胞密度の増加傾向を認めた。MMP-1及びHGF投与群でも同様の結果が得られたが、肝細胞分裂像と細胞密度はHGF非投与群と比較して有意な差を認めなかった。これらの結果より、肝臓におけるMMP-1の強制発現により肝細胞増殖機構が誘導され、細胞増殖開始機構にECMの調節が関与していることが示唆された。さらにHGF投与による差が見られなかったことから、肝細胞増殖機構の発現には、肝細胞増殖因子単独の効果よりもECMの操作がより重要な因子であると強く示唆された。
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