研究概要 |
平成12年度の研究実績として, (1)BALB/cマウス由来大腸癌細胞株CT26を用いて同所移植モデル(orthotopic model)を作製した.このモデルは盲腸漿膜に腫瘍片を縫縮することにより,大腸癌の遠隔転移モデルとして有用であった.実際の転移形式は局所増殖と肝転移を主体とするものであった. (2)(1)にて作製した同所移植モデルを用いて免疫遺伝子と自殺遺伝子の併用治療実験を行った.治療方法の概略は,遺伝子発現ベクターを同所移植モデルに対して,(1)経静脈的投与(2)腹腔内投与のプロトコールとした.結果は(1)において主病変の増殖抑制が不可能であること,(2)においては肝転移の抑制効果が不十分であることが判明した. (3)(2)の実験結果から,前年度に行った皮下腫瘍モデルの治療実験結果とは解離があることがわかり,臨床応用に向かっての改善を余儀なくされたので,Tリンパ球にTh1タイプサイトカイン遺伝子を導入する免疫遺伝子治療を考案して同様の実験系を組んだところ,ベクター自体の投与よりも治療効果が期待出来ることが判明した. 以上の研究実績は当該年度目標にほぼ達している.
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